ストーカーという言葉、ニュースなどで耳にする機会も増え、どのような行為を指すのかご存知の方も多いと思います。ストーカー規制法という法律も、ずいぶん前に作られました。
それでも、残念ながらストーカーによる被害は後を絶たず、心が痛むような出来事が起きるたびに、法律の見直しが繰り返されているのが現状です。「自分には関係ない」と思いがちかもしれませんが、ストーカー被害は、いつ、誰の身に起こってもおかしくない、とても身近な問題なのです。
具体的には、「つきまとい」や「待ち伏せ」、監視されていると感じるような行為、無言電話など、あなたを不安にさせるような行動が繰り返し行われることを「ストーカー行為」と呼びます。
もし、あなたが今、そのような状況に置かれ、心細い思いをされているとしたら、どうすれば良いのでしょうか? ストーカーへの対応は、その時の状況によって本当に様々です。その中でも、「探偵事務所に相談する」という方法も、あなたの力になれるかもしれません。
ここでは、まずご自身でできることから、専門家である探偵に頼れることまで、ストーカー問題と向き合うためのステップを、一つひとつ丁寧にご説明していきますね。
ストーカー被害の対処方法
探偵に相談する前に、ご自身でできること、気をつけていただきたいことがあります。焦る気持ちはよく分かりますが、間違った対応は相手をさらに刺激してしまう恐れもあります。落ち着いて、できることから始めてみましょう。
警察に相談する
まず、あなたが「ストーカーされているかもしれない」と感じていることを、警察に伝えておくのは大切な一歩です。「証拠がないと動いてくれないのでは?」と心配になるかもしれませんが、相談記録を残すだけでも意味があります。
例えば、ご自宅周辺の見回りを少し増やしてもらえたり、万が一、本当に危険を感じて110番した際に、状況をスムーズに理解してもらいやすくなります。内容によっては、ストーカー規制法に基づいて、相手に「やめなさい」と注意(警告)してくれることもありますよ。
相談は、お近くの交番や警察署の窓口のほか、警察相談専用電話「#9110」でも受け付けています。一人で抱え込まず、気軽に利用してみてくださいね。
【少し注意してほしいこと】
もし、ストーカーと直接対峙しているような状況で、相手に気づかれる形で警察に通報するのは、かえって相手を感情的にさせてしまう危険性もはらんでいます。
もちろん、身の危険が迫っていると感じたときは、ためらわずにすぐ110番してください。あなたの安全が第一です。
弁護士に相談する
法律の専門家である弁護士に相談するのも、有効な手段の一つです。特に、相手の身元(名前や住所など)が分かっている場合には、弁護士を通じて「ストーカー行為をやめるように」という正式な書面(内容証明郵便)を送ったり、裁判所を通じて法的な手続き(民事訴訟など)を進めたりすることができます。一人で戦うよりも、専門家の力を借りることで、相手も「これ以上続けるのはまずい」と思いとどまるきっかけになるかもしれません。
相手の行動に一喜一憂しすぎないように
これはとても難しいことだと承知していますが、ストーカー行為に対して、過度に反応を見せないことも大切です。なぜなら、ストーカーは、あなたの反応(困惑、恐怖、怒りなど)を見ること自体を楽しんでいたり、目的としていたりする場合が多いからです。
また、あなたが予想外の反応を示すと、逆上してしまうタイプのストーカーもいます。ですから、できる限り冷静さを保ち、相手の行動に振り回されないように努めましょう。はっきりと拒絶の意思を示した後は、無視を続けることで相手の関心をそらしたり、直接的な対決を避け、警察などの介入を待つ姿勢が、結果的にあなたを守ることにつながる場合もあります。
できるだけ一人で出歩かない工夫をする
ストーカー被害を受けていると感じている間は、可能な限り一人での外出は控えるように心がけてください。あなたが一人でいると、相手がより大胆な行動に出てしまうきっかけを与えかねません。
とはいえ、お仕事や用事などで、どうしても一人で出かけなければならない場面もあるでしょう。そんな時は、なるべく明るく人通りの多い道を選び、夜間の暗い路地などは避けるように意識するだけでも、少し安心感が得られるかもしれません。防犯ブザーを携帯するのも良いでしょう。
ストーカー対策で避けてほしいこと
ストーカーに対して、以下のような行動は状況を悪化させる可能性があるため、避けるようにしましょう。
- 相手に情けをかける、優しさを見せる…相手に期待を持たせ、行為を助長させてしまう可能性があります。
- SNSなどで現在の状況を発信する…あなたの居場所や行動パターンを相手に知らせてしまう危険があります。公開範囲の設定など、プライバシー管理を徹底しましょう。
- 自分で直接対決しようとする…相手が逆上したり、暴力に発展したりするリスクがあります。非常に危険です。
- 挑発するような言動をとる…相手を刺激し、さらなる嫌がらせや攻撃的な行動を誘発する可能性があります。
ストーカー被害にあったら…どんな時に探偵を頼るのが良い?
ストーカーのことで深く悩んでいらっしゃる方の中には、こんな状況の方もいるかもしれません。
「毎日誰かにつけられている気がするけれど、誰なのか分からない…警察に相談したいけど、相手が特定できない」「どうして自分が狙われているのか、まったく心当たりがない」このような場合、警察に相談しても、誰に対して注意したり、行動を止めさせたりすれば良いのか分からず、具体的な対応が難しいことがあります。
相手が誰か分からないと、警察も「これ以上近づかないように」といった強い措置(接近禁止命令など)をとることができません。
また、相手のことは分かっていても、「警察が本格的に動いてくれるだけの、客観的な証拠が足りない」と言われてしまうケースも少なくありません。「つきまとわれている『気がする』」だけでは、警察もなかなか介入しづらいのです。
探偵がお力になれるのは、まさにこのような時です。
探偵にストーカーに関する調査をお願いすると、
- いつ、どこで、どんな被害を受けているのか、具体的な状況を記録
- つきまとっている人物は誰なのか、身元を特定
- そのための「動かぬ証拠」を集める
といった活動をしてくれます。例えば、
- プロの技術で張り込みをして、ストーカー行為の瞬間を写真や動画で記録する
- 相手に気づかれずに追跡(尾行)して、名前や住所などを突き止める
- ご自宅に監視カメラを取り付けるなど、防犯対策を強化しつつ、証拠も確保する
といった方法で調査を進めます。 こうして集めた客観的な証拠や調査結果を警察に提出することで、警察も事態を重く受け止め、より積極的な対応をしてくれる可能性が高まります。あなたの言葉だけでなく、「証拠」が警察を動かす力になるのです。
探偵によるストーカー調査は具体的に何をするの?
探偵事務所にストーカー対策を依頼すると、あなたの状況に合わせて、以下のような調査や対策を行います。
犯人の特定
誰がストーカー行為をしているのか分からない場合、尾行などによって人物を特定し、身元(氏名、住所、勤務先など)を明らかにします。
証拠の確保
あなたが受けている被害を、客観的な形で記録・保全します。つきまとい・待ち伏せの証拠撮影: 尾行や張り込みによって、ストーカー行為が行われている決定的な瞬間を写真や映像に収めます。「いつ、どこで、誰が、何をしたか」を明確にします。
嫌がらせ行為の記録
例えば、家の前での監視、郵便物へのいたずら、車の傷つけなど、様々な嫌がらせ行為の証拠を集めます。
二次被害の防止
盗聴・盗撮のチェック
「部屋での会話が漏れている気がする」「見られている気がする」といった不安がある場合、ご自宅や職場などに盗聴器や盗撮カメラが仕掛けられていないか、専門的な機材を使って調査します。
防犯対策の強化
ご自宅の状況に合わせて監視カメラを設置するなど、さらなる被害を防ぐための対策も提案・実行します。
専門的な調査は「探偵に依頼」するのが安全
これらの調査は、専門的な知識や技術、機材を用いて行われます。ご自身だけで証拠を集めるのは精神的にも負担が大きく、危険も伴いますが、探偵に依頼することで、より確実で、誰が見ても分かるような客観的な証拠を手に入れることができます。
これらの証拠は、警察に提出して具体的な対応を促すだけでなく、もし弁護士を通じて法的な手続き(例えば、慰謝料請求の民事訴訟や、接近禁止の仮処分申し立てなど)を進める場合にも、非常に有効なものとなります。
ストーカーで探偵が「出来ないこと」
証拠集めや身元調査において、探偵は心強い味方となりますが、一方で、法律上できないこともあります。これを知っておくことも大切です。
- ストーカーとの直接交渉: 探偵がストーカー本人に直接会って、「ストーカー行為をやめなさい」と話をしたり、説得したりすることはできません。これは弁護士や警察の領域になります。
- 法的な強制力: 警察のように、相手に対して「被害者に近づいてはいけない」という命令(接近禁止命令など)を出したり、ましてや逮捕したりする権限は、探偵には一切ありません。
つまり、探偵は犯人に直接何かを強制したり、行動を制限させたりするような働きかけはできないのです。
探偵の役割は、あくまで「調査」と「証拠収集」によって、その後の解決に向けた土台を作ることです。探偵が集めた情報や証拠をもとに、最終的には警察に対応してもらったり、弁護士を通じて法的な手段をとったりすることになります。探偵はそのための重要なバトンを渡す役割を担っている、と考えてください。
まとめ
ここまで、探偵がストーカー対策でどのようなお手伝いができるかをお話ししてきました。しかし、実際に探偵に依頼する際には、非常に慎重になる必要があります。
なぜなら、もし調査していることがストーカー本人に気づかれてしまった場合、相手を逆上させ、あなたやご家族の身に危険が及ぶ可能性もゼロではないからです。ストーカー問題は非常にデリケートであり、調査には最大限の配慮とプロの技術が求められます。
経験豊かな探偵であれば、相手に気づかれるリスクを最小限に抑えながら、安全かつ確実に証拠を集めるノウハウを持っています。
ストーカー被害にお悩みの場合はぜひ探偵の活用もお考えください。