調査内容

警察官と結婚すると事前に「身辺調査」されるて本当?その理由や内容まで徹底解説

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「警察官と結婚するときには、相手の身辺調査があるらしい」と耳にしたことはありませんか。身辺調査という聞きなれない言葉を聞くと、「なぜ調べられるの?」「どんなことを聞かれるの?」「もし何かあったらどうなるの?」など、気になる点も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなあなたの疑問や不安に寄り添いながら、警察官とのご結婚における身辺調査について、その理由や内容、そしてどのような場合に影響があるのかを、具体的に、そして分かりやすくお伝えしていきます。

ご結婚に向けて、ご自身や大切なパートナーについて、事前に理解を深めておくための一助となれば幸いです。

警察官との結婚で『身辺調査』が行われるのはなぜ?

まず、なぜ警察官と結婚する際に、お相手(警察官ではない方)の身辺を確認する必要があるのでしょうか。それには主に二つの大切な理由があります。

社会の安全を脅かす組織とのつながりがないかを確認するため

警察官は、私たちの社会や国の平和と安全を守るという、非常に重い責任を担っています。そのため、結婚されるお相手やそのご家族が、例えば暴力団や詐欺グループといった反社会的な集団、あるいは法律に反する活動を行う団体などと、意図せずとも関わりを持っていないかを確認する必要があります。

ご本人にとっては「プライベートなことなのに、なぜ?」と戸惑われるかもしれません。しかし、もし警察官の身近な人が、警察とは対立する立場にある組織と何らかの繋がりを持っていた場合、警察官として公平・公正に職務を遂行することが難しくなってしまう恐れがあります。そうした事態を未然に防ぐために、事前に確認をしているのです。

警察官の仕事に影響が出る可能性を未然に防ぐため

もし、警察官の身内の方が、社会のルールを守らない組織や団体と関わりがあった場合、どのような問題が起こりうるでしょうか。

想像してみてください。例えば、捜査に関する情報が外部に漏れてしまったり、「捜査の予定を教えてほしい」「知人だから大目に見てほしい」「自分に危険が及ぶかもしれないから、この件は追及しないでほしい」といった、あってはならない働きかけやプレッシャーを受ける可能性が考えられます。

警察官も一人の人間です。大切な家族や身近な人が関わることとなれば、職務上の責任と個人的な感情との間で、苦しい葛藤を抱えることもあるでしょう。このような、警察官の職務遂行を困難にするリスクをあらかじめ避けるためにも、結婚相手とその近親者の方々の状況を確認することは、非常に重要な意味を持つのです。

警察官と結婚する前に行われる『身辺調査』の具体的な内容

 

では、実際にどのようなことが確認されるのでしょうか。

ご自身とご親族(3親等まで)に関する基本的な情報

警察官とのご結婚に際しては、ご自身の情報だけでなく、近いご親族についても、いくつか基本的な事項をお伺いすることが一般的です。その範囲は、通常「3親等」までとされています。

  • 1親等:ご自身の父母、お子さん
  • 2親等:ご自身の祖父母、お孫さん、兄弟姉妹
  • 3親等:ご自身の曽祖父母(ひいおじい様・ひいおばあ様)、曾孫(ひまご)さん、伯父伯母(叔父叔母)、甥姪(おい・めい)

お伺いする主な内容は、氏名、住所、生年月日、学歴、勤務先といった基本的なプロフィールです。

それに加えて、以下のような点も確認の対象となることがあります。

  • 過去の犯罪歴: 特に、社会的に影響の大きい重大な犯罪に関わった経験がないか。
  • 特定の団体との関わり: 暴力団など、警察が調査対象としている組織との接点がないか。
  • 思想や信条: 過激な思想を持つ団体や、社会秩序を乱す可能性のある団体への所属経験がないか。
  • 経済状況: 多額の借金など、経済的な問題がないか。

基本的には、警察という組織と敵対するような勢力との明確なつながりがなければ、過度に心配される必要はありません。

ただし、過去に警察の方針に反対するようなデモ活動などに参加した経歴なども、調査の過程で判明する可能性があることは、念のため心に留めておくと良いでしょう。

なお、万引きやスピード違反といった比較的軽微な過ちについては、通常、結婚への大きな支障とはならないと考えて差し支えありません。

警察が行う「身辺調査」どんな方法が使われる?

調査は、主に以下の二つのステップで進められます。

警察官本人が「彼女・彼氏」両方の個人情報を提出する

調査の第一歩として、まず警察官本人から、結婚を予定しているお相手の氏名、生年月日、学歴、勤務先といった基本的な情報を提供します。この自己申告に基づいて確認作業が始まります。

警察内部の個人情報データベースと照合する

次に、提出された情報を元にして、警察が管理している内部のデータベースと照合します。

このデータベースには、過去の犯罪記録や、注意を要する団体との関連情報などが蓄積されています。この照合を通じて、申告された内容に誤りがないか、また申告されていない重要な情報がないかなどを確認します。

たとえご本人が申告しなかったとしても、このデータベース照合によって判明することもありますので、正直に情報を提供することが大切です。

どのような場合に身辺調査にひっかかる?

調査の結果、どのような場合に結婚に対して慎重な判断が求められるのでしょうか。いくつかのケースを見てみましょう。

自身や親族に「特定の組織」との関わりがある場合

もし、ご結婚されるお相手ご自身、またはその近いご親族の中に、反社会的な勢力(暴力団など)の構成員や、公安当局が危険視している特定の宗教団体のメンバーがいる場合、残念ながらご結婚が難しくなる可能性が高いです。

ただし、これはあくまで警察が調査対象としているような、違法性や危険性の高い団体に限られます。法的に問題がなく、社会的に認められている団体や組織への所属であれば、心配はいりません。

自身や親族に「重大な犯罪の経歴」がある場合

ご自身、または近いご親族が、過去に殺人や大規模な詐欺事件など、社会に大きな衝撃を与えた重大な犯罪に関与した経歴がある場合、ご結婚の障壁となることがあります。警察官ご本人に犯罪歴が全くなくても、身近な方の過去の行いが、結果として影響してしまうケースも考えられるのです。

両親が「外国籍」の場合(慎重な確認が必要なケース)

ご両親が外国のご出身である場合(いわゆるハーフの方なども含みます)、調査がより慎重に行われることがあります。これは、警察官の職務が日本の安全や国益に深く関わっているためです。

万が一、ご両親が他国のスパイ活動に関与しているといった、極めて稀なケースも想定しなければなりません。そのような事態は、国家にとって重大な損失につながりかねません。そのため、ご出身の背景に違法性や、国家の安全を脅かすような懸念点がないか、通常よりも詳しく確認されることになります。

ただし、ご両親が外国籍であるという理由だけで、直ちに結婚が認められないわけではありません。あくまで、個別の状況に応じて慎重な判断がなされます。

もし『身辺調査』で問題が発生したらどうなる?

万が一、身辺調査の結果、何らかの懸念事項が明らかになった場合、どのようなことが考えられるでしょうか。

警察官として働く期間は「結婚が難しい」

残念ながら、お相手の身辺調査で結婚に影響しうる懸念が見つかった場合、警察官として勤務を続けている間の結婚を断念せざるを得ない、という苦渋の決断をされる方もいらっしゃいます。

特に、警察組織によっては、昇任・昇格のタイミングで再度、身辺調査が行われる場合もあります。階級が上がるにつれて、調査の範囲や深度が増す傾向にあるため、「今は大丈夫でも、将来的に問題になるかもしれない」という不安が残ることも、決断の背景にあるようです。

上司から将来に関する話し合いをされる場合も…

身辺調査の結果は、通常、所属部署の直属の上司から警察官ご本人に伝えられます。もし懸念される点が見つかった場合、上司から「警察官としてのキャリアと、お相手との結婚、どちらを選びますか?」といった、将来に関わる重い問いかけや、状況の説明、アドバイスなどが行われることがあります。

もちろん、最終的に結婚するかどうかを決めるのはご本人の意思です。警察組織といえども、個人の結婚を法的に強制することはできません。しかし、その選択が、警察官としての将来のキャリアパスに様々な影響を及ぼす可能性があることは、覚悟しておく必要があるかもしれません。

身辺調査に引っかかっても「無視して結婚」したらどうなる?

周囲からの心配や反対があったとしても、お二人の意思で結婚を決断される場合もあるでしょう。その場合、警察官としてのキャリアには、どのような影響が考えられるでしょうか。

昇進や昇格が難しくなる可能性がある

身辺調査で懸念が指摘されたにも関わらず結婚した場合、その後の昇進や昇格において、不利な状況になることが考えられます。

警察組織は、しばしば「縦社会」と表現されるように、階級や序列が重視される傾向があります。限られた昇進のポストを目指す上では、能力や実績はもちろんのこと、「減点」となる要素をいかに少なくするかが重要視される側面もあります。残念ながら、身辺に関する懸念事項は、この「減点」と見なされやすいのです。特に、責任が重く、より高い倫理観が求められる役職に就くほど、その影響は大きくなる可能性があります。

警察組織全体として、社会の安全を脅かす可能性のある勢力とは明確な一線を画す必要があるため、職員の身辺情報は、組織内でのキャリア形成においても重要な要素とならざるを得ないのです。

希望する部署への異動や配属が叶いにくくなる可能性がある

身辺調査で問題が指摘されたお相手との結婚を選んだ場合、その警察官自身の職務上の信頼性について、上層部から疑問視されてしまう可能性があります。その結果、本人が希望する部署への異動願いが認められなかったり、特定のポストへの配属が見送られたりするケースも考えられます。

特に、高度な機密情報を扱う部署や、強い信頼関係が不可欠とされる業務(例:要人警護、内部監察など)においては、上層部がより慎重な判断を下すことが一般的です。

結果として、ご自身が思い描いていたキャリアプランを実現することが難しくなったり、職場内での評価や同僚からの信頼という点でも、少なからず影響が出たりする懸念があります。

もし身辺調査で何らかの懸念が見つかった場合は、お二人の将来はもちろんのこと、警察官としてのキャリアと家庭生活のバランスをどのように考えていくか、時間をかけて冷静に、そして真剣に話し合うことが大切になるでしょう。